歯科口腔外科

診療内容特長

田北病院歯科口腔外科は平成19年4月の開設いたしました。歯科口腔外科は完全予約制にて担当医師が一人一人の患者さまを丁寧に診察する体制をとっています。口腔を一つの単位と考えて、口腔の機能的問題の回復を目指します。一般歯科治療は基本的には行なっておりません。一般歯科で対応の困難な症例を取り扱い、顎口腔機能に関係した疾患を治療対象としています。埋伏歯の抜歯、外傷、顎関節症、粘膜疾患、神経疾患、口腔乾燥症、口腔腫瘍など幅広く対応しています。また、悪性腫瘍などは然るべき施設と連携し治療を進めます。病院の歯科口腔外科であるので、CTやMRI画像診断検査、各種検査装置にて、より高度で精密な検査をすることが可能です。入院設備や手術室を利用して、全身麻酔下手術にて治療することにも対応しております。また、内科的やその他全身的に問題などがある有病者の患者様の治療を、地域の医療機関や院内各科との連携をとりながら行なっております。わが国の社会的方向性では在宅医療の充実に向けて、一般歯科開業医と病院歯科の連携体制が求められています。医科歯科連携の架け橋として地域包括ケアシステムにおける役割の一端を担って行きたいと考えます。

●口腔外科疾患および治療

1. 抜歯:親知らずや埋伏歯、過剰歯など一般歯科医院では対応が困難な歯の抜歯術を行います。

2. 炎症:智歯周囲炎、膿瘍、顎骨骨髄炎、歯性上顎洞炎などを扱います。発熱、腫脹がひどい場合は、入院下で処置が必要なこともあります。軽症の場合は、切開・排膿、抗生物質の点滴や内服を行います。

3. 外傷:顎顔面骨折、歯の損傷(脱臼、破折)、口腔内および口腔外の周囲の損傷などに対して整復固定、縫合を行います。

4. 嚢胞:顎骨内や口唇、頬粘膜、舌などに様々な原因でできた軟らかな組織で包まれた袋状のできものを切除、摘出いたします。

5. 顎口腔腫瘍:顎骨内、頬粘膜、口唇などにできるできものです。良性、悪性があり、臨床所見、画像所見より正しく診断し、切除や摘出を行います。悪性の場合は然るべき施設にご紹介いたします。

6. 顎関節症:スプリント療法(マウスピースを用いた治療)を主に行い、運動療法、薬物治療を併用した保存的治療を行います。難治症例の場合は外科的治療を検討します。

7. 口腔粘膜疾患:アフタ性口内炎、口腔カンジダ症、白板症、扁平苔癬などがあり、口腔粘膜疾患は多岐にわたります。薬物療法や外科的治療を行います。特に前癌病変、前癌状態の場合は、長期的な経過観察が必要となることもあります。

8. 口腔乾燥症、味覚異常など:原因は全身的疾患(糖尿病など)、薬剤の副作用、シェーグレン症候群、亜鉛欠乏症などが挙げられます。内科主治医と連携し、治療を行います。

9. 舌痛症、三叉神経痛、その他神経疾患:ストレスが関与する様々な疼痛(舌、顔面の痛み)や神経が関与する疼痛などがあります。薬物療法を中心に行います。

10. 睡眠時無呼吸症候群:内科や呼吸器内科などの先生方からご紹介頂き、検査データを提供していただけますと、保険診療にて口腔内装置(スリープスプリント)を作製し、診療にあたります。

11. その他:悪性腫瘍などを疑う場合、診断困難である場合、診断に苦慮する場合は、しかるべき施設と連携し治療を進めます。

●周術期口腔機能管理
田北病院では、平成26年4月より「周術期口腔ケアセンター」を立ち上げ、全身麻酔の手術を受けられる患者さまを対象に周術期口腔ケアを行なっています。口腔ケアを行うことで、手術後の肺炎などの術後合併症の発症を防ぐことができます。また、院外の患者さまで、手術や化学療法を受けられる方は、主治医の先生からのご紹介により口腔ケアを行うことができます。化学療法中に発症する難治性の口腔粘膜炎などを制御することで、治療の完遂を目指すことができます。また、治療開始前に感染源になる可能性がある保存不可能な歯の抜歯などを行い、治療中の免疫低下による有害事象を防ぐことでより安全に治療を受けていただくことができます。地域医療機関や院内各科と連携しながら行なっていきます。

●有病者歯科治療
近年の医学の進歩や文化の発達などに伴い、日常歯科診療で全身的に何らかの配慮を必要とする基礎疾患を有した患者さま(いわゆる有病者)の占める割合が増加しています。薬物治療や化学療法など治療を受けながら、歯科治療を受けられる患者さまも多数おられます。最近では、口腔内疾患と全身疾患の関わりも解明されつつあります。単に口腔だけにとらわれることなく全身疾患や薬剤の知識を有し、医科との連携を図りながら歯科治療に臨んでいます。


●院内感染対策
医療の現場では、安全に医療行為を行うために適切な感染対策を行うことが基本となります。標準予防策(スタンダードプリコーション)に準じることに努め、日常の診療を行なっております。標準予防策とは、「あらゆる人の血液、すべての体液、汗以外の分泌物、排泄物、損傷のある皮膚、および粘膜には感染性があると考えて取り扱う」という考え方を基盤に、すべての人に実施する感染予防策です。主たる対策として当科では以下の3点を遵守して患者さまの治療にあたります。

1.手指衛生

2.個人防護具

3.歯科医療器材の洗浄・消毒・滅菌




医師プロフィール

 松末友美子(Matsusue Yumiko)

歯科口腔外科部長
医学博士

 専門

顎顔面外傷、口腔外科全般

 専門医・資格

日本口腔外科学会認定医・専門医
日本口腔科学会認定医・指導医
日本口腔内科学会専門医・指導医
日本口腔診断学会認定医・指導医
日本有病者歯科医療学会専門医・指導医
日本顎関節学会認定医・専門医
日本歯科麻酔学会認定医
日本栄養治療学会認定歯科医師
ICD協議会認定Infection Control Doctor
歯科医師臨床研修指導歯科医

 所属学会

日本口腔外科学会
日本口腔科学会
日本口腔内科学会
日本口腔診断学会
日本口腔顎顔面外傷学会
日本有病者歯科医療学会
日本顎関節学会
日本歯科麻酔学会
日本顎変形症学会
日本口腔インプラント学会
日本顎顔面インプラント学会
日本癌治療学会
日本口腔腫瘍学会
日本栄養治療学会
日本口腔ケア学会
日本摂食嚥下リハビリテーション学会

 プロフィール

大阪大学歯学部卒業
奈良県立医科大学附属病院臨床研修(口腔外科)
奈良県立医科大学大学院研究科口腔・顎顔面機能制御医学大学院卒業


 メッセージ

歯科口腔外科とは口腔(口のなか)、顎(がく、あご)、顔面ならびにその周囲組織に現れる先天的、後天的疾患を扱う診療科です。この領域の異常は食事や、発音・会話が上手くできないなどの機能的な障害から審美的な障害も問題となってきます。治療により口腔・顎・顔面全体の自然な形態や機能が回復すると、健康的な日常生活を取り戻すことができます。そのお手伝いをするのが歯科口腔外科です。口腔領域は良性のものから悪性のもの(いわゆる癌など)まで様々な疾患が発生しますが、疾患の中には専門的治療を必要とするものもあります。何か気になることがありましたら、是非ご相談下さい。


非常勤医師

 山本一彦(Yamamoto Kazuhiko)

奈良県立医科大学口腔外科講座非常勤医師
奈良県総合医療センター非常勤医師
医学博士

 専門

顎顔面外傷、顎変形症、口腔粘膜疾患

 専門医・資格

日本口腔外科学会専門医・指導医
日本口腔科学会認定医・指導医
日本口腔内科学会専門医・指導医
日本口腔診断学会認定医・指導医
日本顎変形症学会認定医・指導医
日本顎関節学会専門医・指導医
日本有病者歯科医療学会専門医・指導医
日本顎顔面インプラント学会特任指導医
日本歯科麻酔学会認定医
日本がん治療認定医機構癌治療認定医(歯科口腔外科)
ICD協議会認定Infection Control Doctor
歯科医師臨床研修指導医

 所属学会

日本口腔外科学会
日本口腔科学会
日本口腔内科学会
日本口腔診断学会
日本顎変形症学会
日本顎関節学会
日本有病者歯科医療学会
日本顎顔面インプラント学会
日本歯科麻酔学会
日本口腔腫瘍学会
日本口腔顎顔面外傷学会
日本老年歯科医学会
日本病院歯科口腔外科協議会

 堀田聡(Horita Satoshi)

ほりた歯科・口腔外科インプラントクリニック院長
奈良県立医科大学口腔外科講座非常勤医師
医学博士

 専門

顎顔面インプラント、顎顔面外傷、顎変形症

 専門医・資格

日本口腔外科学会専門医・指導医
日本顎顔面インプラント学会専門医
日本口腔科学会認定医・指導医
日本障害者歯科学会認定医
日本ACLS協会BLSインストラクター
ICD協議会認定Infection Control Doctor
歯科医師臨床研修指導医

 所属学会

日本口腔外科学会
日本顎顔面インプラント学会
日本口腔科学会
日本口腔インプラント学会
日本口腔顎顔面外傷学会
日本顎変形症学会
日本障害者歯科学会
日本有病者歯科医療学会
日本臨床バイオメカニクス学会
日本ACLS協会

 新子寿未(Atarashi Kazumi)

奈良県立医科大学口腔外科講座医員

 専門

口腔外科全般

 専門医・資格

日本口腔外科学会認定医

 所属学会

日本口腔外科学会
日本口腔科学会
日本有病者歯科医療学会

 徳宮元富(Tokumiya Mototomi)

歯学博士

 専門

口腔外科全般

 専門医・資格

日本口腔外科学会専門医

 所属学会

日本口腔外科学会


2024年 歯科口腔外科全身麻酔手術件数


下顎完全埋伏智歯 抜歯術 42
過剰歯を含む智歯以外の抜歯術 1
下顎隆起・口蓋隆起形成術 2
顎骨骨髄炎消炎手術 2
軟組織腫瘍切除術 3
顎骨腫瘍切除術 8
顎骨嚢胞摘出・開窓術 22
顎関節鏡視下手術 1
筋突起切除術(咀嚼筋腱・腱膜過形成症) 6
顎関節腫瘍切除術 7
インプラント一次手術 1
唾石摘出術 1
合計 96件